2013/10

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女性誌のビジネスファッションはなぜ使えないのか


働く女性の悩みで多いものといえば、キャリアについて、仕事の人間関係、ビジネスファッションではないでしょうか。私もこれらで大いに悩みましたが、特に困ったのがビジネスファッションです。キャリアや人間関係の悩みに比べ、圧倒的に情報が少ないからです。

女性誌にはよく「仕事場でも大丈夫」というコーディネートが載っていますが、私にはとても大丈夫だとは思えませんでした(私の職場は、ごく一般的な職場だと思うのですが)。その理由は、プライベートファッションの延長線上にビジネスファッションを考えているからだと思います。私も長い時間をかけてようやく分かったことですが、プライベートとビジネスではファッションの意味が全く異なります。ビジネスファッションとは「その仕事にふさわしいセンスがあることを表現する手段」なのです。ビジネスで相手が気にすることは、あなたが「その仕事をやりとげられるか」であって、あなたがどれだけ美しいか、最先端の流行を知っているかなどにはほとんど興味がないでしょう。相手の要求にどれだけ的確に答えられるかは、ビジネスで非常に重要なポイントです。相手はまずファッションであなたのビジネスセンスをチェックするのです。

相手にファッションで「私はその仕事にふさわしいセンスを持っています」と語りかけるには、相手に通じる言葉で語りかける必要があります。ビジネスは長い間、男性中心の世界でした。そのため、男性のビジネスファッションのルールは(近年揺らいでいるとはいえ)確立されています。一方、女性がビジネスの世界で重要な役割を担うようになったのは残念ながらごく最近のため、女性のビジネスファッションのルールはかなり曖昧です。そのため、女性のビジネスファッションも男性のビジネスファッションに準じて考えられやすいことには注意する必要があるでしょう。特にポジションが上の人にはその傾向が強いため、女性も男性のビジネスファッションのルールを知らないのはリスクと言えるでしょう。

もちろん時代は変わってきていますので、今までの男性のビジネスファッションに囚われすぎるのもどうかと思います。ビジネスでも女性の感覚を大切にしない企業は生き残れないと言われるほどですので、これからはビジネスファッションにも女性の感覚を取り入れるべきでしょう。しかし、「型を身につけた人が型を破ることを『型破り』といい、型のない人が型を破ることを『形無し』という」との、ある歌舞伎役者の言葉があります。『型破り』=新しい価値を創造すること、『形無し』=崩れてみっともないさま、ということでしょう。型(伝統)とは先人の知恵であり、時代に即して変化させたいのであれば、型をきちんと知ることこそが近道だと言えるでしょう。

男性のビジネスファッションは、スーツ(背広)にシャツ・ネクタイが基本です。男性のスーツと同じ形状の女性用スーツのことをテーラード・スーツと呼びますが、女性の場合もテーラード・スーツ+シャツがどのようなビジネスシーンでも基本となります。まずはテーラード・スーツ+シャツのコーディネートになれる必要があるでしょう。しかし、テーラード・スーツ+シャツのコーディネートは就職活動の定番でもあります。就職活動をしている学生と同じコーディネートでは、「私は就職活動中の学生と同じ程度のビジネスセンスしか持っていません」と言っている様なものです。スーツやシャツの生地や仕立てなど質で差をつけるという方法もありますが、スーツもシャツも形や色がシンプルなので、それにも限界があります。男性の場合、それを補うためネクタイで変化をつけているのですが、女性がビジネスシーンでネクタイをすると違和感があります。

であれば、どうすればいいのでしょうか。私は、ストールとジュエリーを使うことにしました。これらは、男性がビジネスシーンで使うにはまだ違和感が強いものですが、女性が適度に使うならば違和感が少ないからです。ストールをスーツとシャツの間に少し見せて男性のネクタイと同じように色と柄で変化をつけ、日本のビジネスシーンでは男性が着けることはないジュエリーで質の高さを感じさせるようにしたのです(その詳細は、別ブログの「テーラード+シャツ|ビジネスシーンのジュエリーコーディネート」に記述しています)。ここで考えたことは、より自由度の高いシーンのコーディネートでも応用できます(応用についても、別ブログの「テーラード+カットソー|ビジネスシーンのジュエリーコーディネート」「テーラード+イタリアンカラー|ビジネスシーンのジュエリーコーディネート」で記述しています)。

現代はグローバル化の時代、あるいは、変革の時代とも言われます。それは、異なる価値がぶつかり合い、新しい価値を生み出したものが生き残るということでしょう。自分なりの価値を持たないものは他に取り込まれるだけですし、自分の価値だけにとらわれすぎると取り残されます。自分をしっかり持ちながらも、他人の良いところを見つけ受け入れるだけの柔軟性も備える、そのようなバランス感覚が高度なレベルで求められているのです。ビジネスファッションは「その仕事にふさわしいセンスがあることを表現する手段」ですから、ビジネスファッションにも高度なバランス感覚が求められます。求められるビジネスセンスは、業界・自社の特性・クライアントの特性・自分のポジションによっても変わるでしょう。ビジネスファッションを考えるということは、自分に必要なビジネスセンスを考えるということであり、表面的ではすまない奥の深い問題なのです。

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2013/10

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老子|何の解決にもなっていない!?


情報化・グローバル化が進んだ現代では、働く人々は激しい競争にさらされています。いかに効率的に働いて、いかに大きな成果を得るが重要になり、その方法を解説した本もよく見かけます。一方で、人間にとって何が大切であるかという価値観そのものが変化している時代でもあります。それは、働く人のマインドに影響するだけでなく、エコが重要なセールスポイントとなるように消費者のマインドにも影響を与えるようになってきました。昔と同じものを売っていても売れない時代ですから、人間にとって本当に価値のあるものは何かを考えることがビジネスにとっても重要になってきています。しかし、そのようなことを書いた本は難しいというイメージが強く、私もなかなか本格的な本には手が出ません。

そこで私がよく見るのは、NHK番組『100分 de 名著』(番組のHP→)です。この番組は別のミニコラム『「100分 de 名著」で世界を広げる』でもご紹介しましたが、25分×4回=100分で名著の「核」を紹介しようという番組です。全く知らない初心者やちょっとだけは知っている準初心者向けの入門編と言えるもので、文学作品から宗教や哲学など色々な分野の本を解説しています。特に宗教や哲学の名著に関しては、出来るだけわかりやすく、しかし「核」についてはそこそこの切り込みがあるので、つぼにはまると見ごたえがあります。

最近の放送で、私のつぼにはまったのが『老子』でした。一番印象的だったのは、きたろうさん演じる老子先生が電話でお悩み相談にのっているシーンです。老子先生の回答を聞いた相談相手は「何の解決にもなっていないじゃないですか!」と怒り出します。実践的な回答を求めている相談相手に抽象的な回答をしてしまい、次元が違いすぎて相談者に受け入れられないのです。第3者の立場で見れば、悩んでいるときはもう少し大きな視野・高い視点で問題を捉えなおした方がよいと分かります。例えば、「○○できなくて悩んでいる」場合、○○できるようになる方法を考えるよりも先に、○○をすることが本当に正しくて必要なことかと考えることが大切です。しかし、問題を抱えている当人はなかなかそれに気がつかないのはよくあることで、私もよく逆切れしているかもしれないと苦笑してしまいました。

番組の内容に解説を加えたテキストも発売されています。残念ながら、老子先生のお悩み相談は掲載されていません(笑)

『老子』 2013年8月 (100分 de 名著)




番組は
  1. 「道」に従って生きよ
  2. 水のように生きる → 理想は「戦わずして勝つこと」
  3. 人を生かす知恵 → 民の自主性を尊重せよ
  4. 満ち足りた人生とは
と4回に分けて放送されました。

正直、老子の思想の根幹である「道(TAO)」についてはまだよく分かりません。また、老子の思想は極端なので、本当にそれが実現できるとも思えません。しかし、物事はプラスとマイナス2つの価値がちょうどよいバランスを保ったときに一番よい状態になるように思います。例えば、団結が強すぎる組織だと改革が阻害され、団結が弱すぎるとバラバラで充分力が発揮されませんが、メンバーがちゃんとつながりながらも流動性のある組織ならば継続的に発展できるなどです。現代社会の対極にあるような老子の思想は、バランスを取るための大切な軸を与えてくれるかもしれません。実際、「戦わずして勝つこと」が理想という話はwin-winの関係の構築に、民の自主性を尊重せよという話は部下を育てる際の心構えに、というように現代に通じるものを感じました。

近代化は西洋世界がリードしてきましたが、ここに来て行き詰まりが見られるようになってきました。今までのやり方を全て捨て去るわけには行きませんが、新しい視点が必要になってきています。スティーブ・ジョブズが禅に傾倒していたことは有名ですが、東洋的な視点には何かヒントになるものがあるかもしれません。東洋で一番近代化に成功している日本にいるビジネスパーソンは、西洋と東洋どちらも理解しやすいという点で非常に恵まれた立場にあると言えます。そのアドバンテージを有効に活用しないのはもったいない。『100分 de 名著』のテキストには東洋思想を解説した本がいくつもあります。別のミニコラム『「100分 de 名著」で世界を広げる』でもご紹介した「ブッタ 真理のことば」「孔子 論語」もそうですし、「般若心教」も放送されたことがあります。気になるものからチェックしてみてはいかがでしょうか。

『般若心経』 2013年1月 (100分 de 名著)




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