働く女性の戦略的生活スタイル|Another You STYLE
働く女性の生活を戦略的に考え、仕事・ファッション・くらし・美容/健康・スキルアップ・食事などについて、ミニコラムとしてご提案・ご紹介してまいります。
日本の企業は、終身雇用や年功序列など独特の制度を持っていますが、最近はこの2つが崩れ始めて大きく変わろうとしています。日本独特の制度と同じように、組織として動く際の日本人特有の傾向もあるでしょう。それがマイナスに働く作用の強いものなら、それを避ける対策が必要になります。
その際に参考になるのが、『失敗の本質』という本だと思います。この本は、大東亜戦争(太平洋戦争)の諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ、それを分析しています。
軍の作戦を分析材料にしているので、女性には興味がわきにくいかもしれません。戦争の実体ではなく、日本の組織が陥りやすいマイナス面とそれを避けるために何をすべきかを知りたいという場合、個々の作戦の事実関係の記述が主の1章は飛ばし、「2章 失敗の本質」「3章 失敗の教訓」だけを読んでも良いと思います。第1章を読んだほうがより実感が湧きますが、これからの組織を考えるための材料はこれでも充分得られるはずです。
2章では、日本軍の失敗の原因として
などを指摘していますが、現代の組織でも思い当たるところがありそうです。
そして3章の冒頭で、これらの原因を総合し、日本軍が主体的に環境に適応できる組織「自己革新組織」でなかったことが失敗の根源的原因としています。では、環境に適応できる組織「自己革新組織」とは、どのようなものなのでしょうか。本では、
などの条件があげられています。
この中で一般にリーダーがもっとも嫌がるのは、4の「異質なヒト(=視点)を取り込む」ことではないでしょうか。リーダーは、効率を求めるあまり、自分と異質なヒトを排除し同質のメンバーを集めたがるからです。しかし、私は「異質なヒト(=視点)を取り込む」ことが、「自己革新組織」を作るうえで最も重要なことだと思います。それによって多角的な視点が得られて、視点が高くなり視野も広がります。1の緊張感や危機感も生まれますし、3の創造的破壊を伴う突然変異も生まれやすいでしょう。5の評価も、多角的な視点が加わることで客観性が増します。「自己革新組織」になれば、リーダーが直接関与する部分が少なくてもメンバーが自律的に動くので、リーダーの負担が軽減して戦略など重要な作業に集中できます。異質なヒトを取り込むことことは、長期的に見ればとても効率的な方法なのです。
現在では、環境が変化するスピードはますます速くなり、それに適応できない企業は生き残れなくなっています。一方で、変化に不安を感じ、昔のような「安定」を志向する人も増えています。リーダーには、ともすれば「変わるまい」とする人たちを突き動かし、自己革新組織を作り上げることが求められているのです。『失敗の本質』という本は、そのために良いヒントを与えてくれる本だと思います。
このブログの更新情報が届きます(RSS1.0) ※左のリンクから「フィードを登録|購読する(無料です)」をクリックしてブラウザに登録すると、更新通知が自動的にブラウザに表示されます。詳しくはブラウザのヘルプをご覧ください。
※上記本文中に商品やサービスについてクリックできるリンクがある場合、そのリンク先で商品やサービスのご購入等をされますと、当ショップに紹介手数料収入が発生する場合がございます(アフィリエイト・プログラムの仕組みです)。この手数料収入につきましては、当ショップが運営している、利用料無料の[ 美的ブログパーツ ]の運営費や、ショップサイト[ Another You ]のポイントシステムで寄付できる非営利法人・団体・協会への寄付、などとして使用させていただきます。実施した寄付につきましては、適宜、このブログでもご報告いたします。なお、リンク先での商品やサービスに不都合があり、万一、損害を被られた場合でも、当ショップは補償等の責任は負いかねます。予めご了承ください。
その際に参考になるのが、『失敗の本質』という本だと思います。この本は、大東亜戦争(太平洋戦争)の諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ、それを分析しています。
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軍の作戦を分析材料にしているので、女性には興味がわきにくいかもしれません。戦争の実体ではなく、日本の組織が陥りやすいマイナス面とそれを避けるために何をすべきかを知りたいという場合、個々の作戦の事実関係の記述が主の1章は飛ばし、「2章 失敗の本質」「3章 失敗の教訓」だけを読んでも良いと思います。第1章を読んだほうがより実感が湧きますが、これからの組織を考えるための材料はこれでも充分得られるはずです。
2章では、日本軍の失敗の原因として
- あいまいな戦略目的のため、判断がバラバラになり、戦力を有効に生かせなかった
- 短期決戦のみ考え、長期的展望がなかった
- 論理より情緒や空気が重視され、事実を正確・冷静に直視できなかった
- 人事評価基準があいまいなため、声の大きな者が突出することとなった
などを指摘していますが、現代の組織でも思い当たるところがありそうです。
そして3章の冒頭で、これらの原因を総合し、日本軍が主体的に環境に適応できる組織「自己革新組織」でなかったことが失敗の根源的原因としています。では、環境に適応できる組織「自己革新組織」とは、どのようなものなのでしょうか。本では、
- 組織に緊張感や危機感をもたせ、組織の自然発生的な進化を促す
- 組織の構成要素の自律性を確保する
- 漸進的変化だけでなく、現状の創造的破壊を伴う突然変異のような進化を行う
- 異質なヒト、情報、偶然を取り込んで、イノベーションを起こす
- 結果(特に失敗)を客観的に評価し、それを知識として蓄積し、次に生かす
などの条件があげられています。
この中で一般にリーダーがもっとも嫌がるのは、4の「異質なヒト(=視点)を取り込む」ことではないでしょうか。リーダーは、効率を求めるあまり、自分と異質なヒトを排除し同質のメンバーを集めたがるからです。しかし、私は「異質なヒト(=視点)を取り込む」ことが、「自己革新組織」を作るうえで最も重要なことだと思います。それによって多角的な視点が得られて、視点が高くなり視野も広がります。1の緊張感や危機感も生まれますし、3の創造的破壊を伴う突然変異も生まれやすいでしょう。5の評価も、多角的な視点が加わることで客観性が増します。「自己革新組織」になれば、リーダーが直接関与する部分が少なくてもメンバーが自律的に動くので、リーダーの負担が軽減して戦略など重要な作業に集中できます。異質なヒトを取り込むことことは、長期的に見ればとても効率的な方法なのです。
現在では、環境が変化するスピードはますます速くなり、それに適応できない企業は生き残れなくなっています。一方で、変化に不安を感じ、昔のような「安定」を志向する人も増えています。リーダーには、ともすれば「変わるまい」とする人たちを突き動かし、自己革新組織を作り上げることが求められているのです。『失敗の本質』という本は、そのために良いヒントを与えてくれる本だと思います。

現代は変化が激しく、変化に対応できない組織・人間は生き残れない時代になっています。多くの働く女性も、新しい情報・知識を得て自分自身をレベルアップさせる必要性をひしひしと感じているのではないでしょうか。では、新しい情報・知識はどうやって手に入れるのが一番効率的でしょうか。ネットから得るという方法もあるでしょう。しかし、簡単に手に入る情報はそれなりのレベルであることも多く、また系統だって整理されていないケースが多いものです。特にほとんど知らない領域の知識を自分のものにするには、必要な情報がコンパクトにまとまっている本を読むことが結局は一番効率的ではないでしょうか。
しかし、忙しいと書店(リアル店舗)に行くこともままなりませんし、電子書籍は徐々に普及してきてはいますが、まだまだ一般的ではありません。となると、オンライン書店を上手く利用することは、働き続ける上で必要な技術になってきているのかもしれません。オンライン書店を存分に使いこなしている人がいる一方で、全く使ったことがない人もいらっしゃると思います。オンライン書店をよく知らないので使わない、使わないために使っている人と知識の差が出てしまう、というのであれば非常にもったいないことです。このコラムでは、そのような働く女性にオンライン書店を自分にあった形で使うための基本的な情報をご提供できればと思います。
このミニコラムはオンライン書店のうちの特にメジャーだと思われるアマゾン・楽天ブックス・honto・セブンネットショッピングを前提に記述しています。
オンライン書店は変化も激しいので、このミニコラムに書いた内容(2013/8/22現在の情報)が変化していることがあります。最新の状況については、必ず各オンライン書店の「はじめての方へ」「ご利用ガイド」「ヘルプ」等で確認して下さい。
1.本に関する情報の入手
仕事で必要な本の場合、この本が読みたい(読む必要がある)と最初から入手すべき本が明確な場合もありますが、大抵は○○に関する情報を得たいがどの本を読むべきかよく分からない、という状態から始まるものではないでしょうか。リアル店舗ならば、本がありそうなカテゴリのコーナーに行き、よさそうな本を手にとって内容を確認することでしょう。
オンライン書店でもカテゴリ別に分類されていますが、リアル店舗とは比較にならない数の本を扱っていますので、よさそうな本を探すことは一苦労です。そのため、提供される検索機能を使って絞り込んだ中からそれらしき本を探すのが一般的でしょう。指定できる検索条件はオンライン書店によって若干の差異はありますが、それほど大きく変わるものではないと思います。
しかし、ある程度絞り込んだ後、リアル店舗のように手にとって本の内容をざっと確認することが出来ません。アマゾンでは、「なか見!検索」という目次を含む本の内容(画像)を数ページ見ることが出来る機能(オンラインの立ち読み機能)を提供していて便利です。ただし、「なか見!検索」が提供されている本が限られていること、提供されていても立ち読みできる範囲が非常に限られている(10頁程度)ているので、使い勝手はいまひとつです。それでも、目次を見れば内容の方向性はある程度は確認できるので、提供されている場合はチェックした方がよいでしょう。
このような状況を補うため各オンライン書店で提供されている機能が、一般読者によるレビュー(書評・感想)です。既に読んだ人のコメントは参考になる部分もあります。もっとも、オンライン書店によって寄せられるレビューの数が違い、レビューが圧倒的に多いのはアマゾンです。日本で最初に成功したオンライン書店がアマゾンのため、先行者メリットが生きているのだと思います。
また、オンライン書店である本の詳細画面を開くと、「この本に興味を持った(買った)人はこんな本にも興味を持って(買って)います」と、おそらく似たような内容だと思われる本のリストを表示してくれます。自分と同じような興味を持っているであろう他人の行動パターンから芋づる式に情報を得るという、リアル店舗ではできない機能はオンライン書店ならではの機能でしょう。
このように、内容を知らない本を買う際に、一番情報があるのは今のところ圧倒的にアマゾンです。実際に購入するオンライン書店がアマゾンでなくても、本の内容に関する情報を得たいのなら、アマゾンも覗いてみることがおすすめです。
2.受取の負荷を少なくするために
オンライン書店の注文作業はネット上ですみますが、(電子書籍ではない)本はネット上を移動できませんので、どのように配送されて受取るかは、重要なポイントになります。時間・労力・場所に制約があるためリアル店舗に行けないのと同じように、オンライン書店の配送(=受取り)方法も時間・労力・場所の制約を受ける可能性があり、自分が許容可能な配送方法を選択する必要があります。
現在、4つのオンライン書店で提供される配送方法は2つです。
◆宅配
宅配には、宅配便(受領印が必要で手渡し)とメール便(受領印は不要でポストに投函)の2パターンがあります。どちらになるかはオンライン書店が決定し、利用者が指定することは出来ません。
宅配を担当する業者は
・アマゾン → 地域等によって異なる。
・楽天ブックス・honto・セブンネットショッピング → ヤマト運輸
となっています。
◆コンビニ受取
コンビニに行って受取ります。受取可能なコンビにはオンライン書店によって異なります。
・アマゾン → ローソン、ファミリーマート
・楽天ブックス → サークルKサンクス
・honto → (対応していない)
・セブンネットショッピング → セブンイレブン
宅配便の場合、確実に使える宅配ボックスがなければ、働く女性が平日に受取ることはほとんど不可能です(最終配達時間帯はヤマト運輸が20時~21時、佐川急便は18もしくは19時~21時)。そのため、次の休日に時間指定で自宅に再配達してもらうケースが多いでしょう。宅配を自宅に再配達してもらう場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
○自宅に届けてもらえるので、移動負荷がない
×貴重な休日に数時間ほど自宅に拘束される
(再配達の時間指定は短くても2時間の幅があります(12時から14時の間など))
×週の初めに届いた場合、週末に再配達となると入手までに時間がかかる
コンビニ受取のメリット・デメリットは
○勤め先や自宅の近くに対象のコンビニがある場合、手軽に使える
×対象となるコンビニが限定され、近くにない場合は移動負荷がある
メール便のメリット・デメリットは
○ポストに投函されるので、移動負荷がない
×宅配便より少し配達日数がかかる
このようなメリット・デメリットをご自分の優先順位に従って判断し、決定すると良いと思います。ご参考のため、4で私の場合を記載します。なお、ヤマト運輸の宅配便(宅急便)の場合、再配達先にコンビニを指定することも出来ます。このサービスについても4でご説明いたします。
3.セキュリティを気にする方は
オンライン書店で使える支払い方法は主に次の3つです。
◆カード決済(手数料なし)
◆代引き(宅配便の受取り時に支払う。手数料が必要)
◆コンビニで支払う(楽天ブックス以外、手数料なし)
・アマゾン → セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート他。前払い。
ただし、コンビニ受取で代引きとすれば、受取り時に代引き手数料はかかるがコンビニで支払うことは可能。
・楽天ブックス → サークルKサンクス限定。コンビニ受取時に支払い。手数料が必要。
・honto → セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート他。後払い。
・セブンネットショッピング → セブンイレブン限定。前払いもしくはコンビニ受取時に支払い。
オンライン書店では、入金確認後に発送するか、商品を渡す際に代金を受取る(代引き、コンビニ受取+コンビニ支払い)が基本です(唯一の例外は、コンビニ後払いのhonto)。そのため手軽なカード決済を利用する方が多いと思います。
しかし、各オンライン書店のセキュリティレベルが非常に高いことは理解しているが、できるだけカード番号を入力したくないという方もいらっしゃるでしょう。情報管理・リスク管理の観点から、できるだけカード番号の情報を分散させたくないという方です。
そのような方には、コンビニ後払いができるhontoがおすすめです。支払期間が2週間以上の払込用紙が本に同封されているので、それをコンビニに持っていってレジで支払うだけですみます。あるいは、コンビニ受取+コンビニ支払いもよいかもしれません。ただし、セブンネットショッピング以外は手数料がかかります。
4.私のオンライン書店利用法
ご参考のため、私がどのようにオンライン書店を利用しているかをご説明します。私は、1で述べた機能を使ってアマゾンで買うべき本を探した後は、hontoで購入するようにしています。私の場合、とにかく手間を省きたい、出来るだけ早く入手したい、カード番号はできるだけ登録したくない、という希望があるからです(優先順位は記述順)。hontoを選んだ理由は次の3つです。
◆できるだけメール便であること
私にとって受取負荷がもっとも少ないのは、メール便です(残念ながら、利用者がメール便での配送を指定することは出来ません)。ヤマト運輸のメール便は厚さが2cmまでなので、できるだけ包装は簡易な方がメール便になる可能性が高くなります。hontoは薄いボール紙の封筒のため、300ページまでの本1冊ならメール便で来る可能性が高くなります。メール便は宅配便より日数がかかる場合がありますが、宅配便が再配達になることを考えると、メール便の方が労力なしで早く入手できます。残念ながらメール便ではなく宅配便になってしまった場合は、状況によって自宅再配達にするか宅急便店頭受取りサービス(後述)にするか判断します。
◆配送業者がヤマト運輸であること
ヤマト運輸には、「宅急便店頭受取りサービス」があり、宅配便の再配達先にコンビニを指定することができるからです(対象となるコンビニはセブンイレブン、ファミリーマートなどだが、一部店舗は未対応)。サービスの費用は無料ですが、クロネコメンバーズのWebサービスへの登録が必要ですし、何よりコンビニでの保管期間が受取可能日から3日間と短いので要注意です。
◆包装の廃棄負荷が少ないこと
包装が過剰だとゴミ捨ての負荷が大きくなります。アマゾンの過剰包装は有名ですが(本の10倍の容積のダンボールで来ることもあります)、アマゾンのダンボールの廃棄は意外に面倒です。ゴミが少ないと、エコで気分が良くなるというメリットもあります。
◆無料でコンビニ後払いができる
できるだけカード番号を登録したくない私にはぴったりのサービスです。前払い方式だと入金まで発送されず入手が遅くなりますが、後払いなら早く入手でき、余裕のあるときを選んで入金できます。コンビニ受取と同時にコンビニで支払う方法もありますが、忙しい時はコンビニになかなかいけないこともあります。私にとって、メール便+コンビニ後払いが手間と早さのバランスがよい方法なのです。
働き続け成果をあげるためには、(自分にとって)新しい情報・知識の獲得が欠かせません。しかし、そのために何が我慢できて何が我慢できないかは、人によって異なります。今回挙げなかったこと(例えばポイント獲得など)が判断材料になる方もいらっしゃるでしょう。このミニコラムが、ご自分に合った形でオンライン書店を有効に活用するための参考になり、ひいては仕事に必要な情報を効率的に得るための方法を考える参考になれば幸いです。
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しかし、忙しいと書店(リアル店舗)に行くこともままなりませんし、電子書籍は徐々に普及してきてはいますが、まだまだ一般的ではありません。となると、オンライン書店を上手く利用することは、働き続ける上で必要な技術になってきているのかもしれません。オンライン書店を存分に使いこなしている人がいる一方で、全く使ったことがない人もいらっしゃると思います。オンライン書店をよく知らないので使わない、使わないために使っている人と知識の差が出てしまう、というのであれば非常にもったいないことです。このコラムでは、そのような働く女性にオンライン書店を自分にあった形で使うための基本的な情報をご提供できればと思います。
このミニコラムはオンライン書店のうちの特にメジャーだと思われるアマゾン・楽天ブックス・honto・セブンネットショッピングを前提に記述しています。
【Amazon.co.jp】 ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
オンライン書店は変化も激しいので、このミニコラムに書いた内容(2013/8/22現在の情報)が変化していることがあります。最新の状況については、必ず各オンライン書店の「はじめての方へ」「ご利用ガイド」「ヘルプ」等で確認して下さい。
1.本に関する情報の入手
仕事で必要な本の場合、この本が読みたい(読む必要がある)と最初から入手すべき本が明確な場合もありますが、大抵は○○に関する情報を得たいがどの本を読むべきかよく分からない、という状態から始まるものではないでしょうか。リアル店舗ならば、本がありそうなカテゴリのコーナーに行き、よさそうな本を手にとって内容を確認することでしょう。
オンライン書店でもカテゴリ別に分類されていますが、リアル店舗とは比較にならない数の本を扱っていますので、よさそうな本を探すことは一苦労です。そのため、提供される検索機能を使って絞り込んだ中からそれらしき本を探すのが一般的でしょう。指定できる検索条件はオンライン書店によって若干の差異はありますが、それほど大きく変わるものではないと思います。
しかし、ある程度絞り込んだ後、リアル店舗のように手にとって本の内容をざっと確認することが出来ません。アマゾンでは、「なか見!検索」という目次を含む本の内容(画像)を数ページ見ることが出来る機能(オンラインの立ち読み機能)を提供していて便利です。ただし、「なか見!検索」が提供されている本が限られていること、提供されていても立ち読みできる範囲が非常に限られている(10頁程度)ているので、使い勝手はいまひとつです。それでも、目次を見れば内容の方向性はある程度は確認できるので、提供されている場合はチェックした方がよいでしょう。
このような状況を補うため各オンライン書店で提供されている機能が、一般読者によるレビュー(書評・感想)です。既に読んだ人のコメントは参考になる部分もあります。もっとも、オンライン書店によって寄せられるレビューの数が違い、レビューが圧倒的に多いのはアマゾンです。日本で最初に成功したオンライン書店がアマゾンのため、先行者メリットが生きているのだと思います。
また、オンライン書店である本の詳細画面を開くと、「この本に興味を持った(買った)人はこんな本にも興味を持って(買って)います」と、おそらく似たような内容だと思われる本のリストを表示してくれます。自分と同じような興味を持っているであろう他人の行動パターンから芋づる式に情報を得るという、リアル店舗ではできない機能はオンライン書店ならではの機能でしょう。
このように、内容を知らない本を買う際に、一番情報があるのは今のところ圧倒的にアマゾンです。実際に購入するオンライン書店がアマゾンでなくても、本の内容に関する情報を得たいのなら、アマゾンも覗いてみることがおすすめです。
2.受取の負荷を少なくするために
オンライン書店の注文作業はネット上ですみますが、(電子書籍ではない)本はネット上を移動できませんので、どのように配送されて受取るかは、重要なポイントになります。時間・労力・場所に制約があるためリアル店舗に行けないのと同じように、オンライン書店の配送(=受取り)方法も時間・労力・場所の制約を受ける可能性があり、自分が許容可能な配送方法を選択する必要があります。
現在、4つのオンライン書店で提供される配送方法は2つです。
◆宅配
宅配には、宅配便(受領印が必要で手渡し)とメール便(受領印は不要でポストに投函)の2パターンがあります。どちらになるかはオンライン書店が決定し、利用者が指定することは出来ません。
宅配を担当する業者は
・アマゾン → 地域等によって異なる。
・楽天ブックス・honto・セブンネットショッピング → ヤマト運輸
となっています。
◆コンビニ受取
コンビニに行って受取ります。受取可能なコンビにはオンライン書店によって異なります。
・アマゾン → ローソン、ファミリーマート
・楽天ブックス → サークルKサンクス
・honto → (対応していない)
・セブンネットショッピング → セブンイレブン
宅配便の場合、確実に使える宅配ボックスがなければ、働く女性が平日に受取ることはほとんど不可能です(最終配達時間帯はヤマト運輸が20時~21時、佐川急便は18もしくは19時~21時)。そのため、次の休日に時間指定で自宅に再配達してもらうケースが多いでしょう。宅配を自宅に再配達してもらう場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
○自宅に届けてもらえるので、移動負荷がない
×貴重な休日に数時間ほど自宅に拘束される
(再配達の時間指定は短くても2時間の幅があります(12時から14時の間など))
×週の初めに届いた場合、週末に再配達となると入手までに時間がかかる
コンビニ受取のメリット・デメリットは
○勤め先や自宅の近くに対象のコンビニがある場合、手軽に使える
×対象となるコンビニが限定され、近くにない場合は移動負荷がある
メール便のメリット・デメリットは
○ポストに投函されるので、移動負荷がない
×宅配便より少し配達日数がかかる
このようなメリット・デメリットをご自分の優先順位に従って判断し、決定すると良いと思います。ご参考のため、4で私の場合を記載します。なお、ヤマト運輸の宅配便(宅急便)の場合、再配達先にコンビニを指定することも出来ます。このサービスについても4でご説明いたします。
3.セキュリティを気にする方は
オンライン書店で使える支払い方法は主に次の3つです。
◆カード決済(手数料なし)
◆代引き(宅配便の受取り時に支払う。手数料が必要)
◆コンビニで支払う(楽天ブックス以外、手数料なし)
・アマゾン → セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート他。前払い。
ただし、コンビニ受取で代引きとすれば、受取り時に代引き手数料はかかるがコンビニで支払うことは可能。
・楽天ブックス → サークルKサンクス限定。コンビニ受取時に支払い。手数料が必要。
・honto → セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート他。後払い。
・セブンネットショッピング → セブンイレブン限定。前払いもしくはコンビニ受取時に支払い。
オンライン書店では、入金確認後に発送するか、商品を渡す際に代金を受取る(代引き、コンビニ受取+コンビニ支払い)が基本です(唯一の例外は、コンビニ後払いのhonto)。そのため手軽なカード決済を利用する方が多いと思います。
しかし、各オンライン書店のセキュリティレベルが非常に高いことは理解しているが、できるだけカード番号を入力したくないという方もいらっしゃるでしょう。情報管理・リスク管理の観点から、できるだけカード番号の情報を分散させたくないという方です。
そのような方には、コンビニ後払いができるhontoがおすすめです。支払期間が2週間以上の払込用紙が本に同封されているので、それをコンビニに持っていってレジで支払うだけですみます。あるいは、コンビニ受取+コンビニ支払いもよいかもしれません。ただし、セブンネットショッピング以外は手数料がかかります。
4.私のオンライン書店利用法
ご参考のため、私がどのようにオンライン書店を利用しているかをご説明します。私は、1で述べた機能を使ってアマゾンで買うべき本を探した後は、hontoで購入するようにしています。私の場合、とにかく手間を省きたい、出来るだけ早く入手したい、カード番号はできるだけ登録したくない、という希望があるからです(優先順位は記述順)。hontoを選んだ理由は次の3つです。
◆できるだけメール便であること
私にとって受取負荷がもっとも少ないのは、メール便です(残念ながら、利用者がメール便での配送を指定することは出来ません)。ヤマト運輸のメール便は厚さが2cmまでなので、できるだけ包装は簡易な方がメール便になる可能性が高くなります。hontoは薄いボール紙の封筒のため、300ページまでの本1冊ならメール便で来る可能性が高くなります。メール便は宅配便より日数がかかる場合がありますが、宅配便が再配達になることを考えると、メール便の方が労力なしで早く入手できます。残念ながらメール便ではなく宅配便になってしまった場合は、状況によって自宅再配達にするか宅急便店頭受取りサービス(後述)にするか判断します。
◆配送業者がヤマト運輸であること
ヤマト運輸には、「宅急便店頭受取りサービス」があり、宅配便の再配達先にコンビニを指定することができるからです(対象となるコンビニはセブンイレブン、ファミリーマートなどだが、一部店舗は未対応)。サービスの費用は無料ですが、クロネコメンバーズのWebサービスへの登録が必要ですし、何よりコンビニでの保管期間が受取可能日から3日間と短いので要注意です。
◆包装の廃棄負荷が少ないこと
包装が過剰だとゴミ捨ての負荷が大きくなります。アマゾンの過剰包装は有名ですが(本の10倍の容積のダンボールで来ることもあります)、アマゾンのダンボールの廃棄は意外に面倒です。ゴミが少ないと、エコで気分が良くなるというメリットもあります。
◆無料でコンビニ後払いができる
できるだけカード番号を登録したくない私にはぴったりのサービスです。前払い方式だと入金まで発送されず入手が遅くなりますが、後払いなら早く入手でき、余裕のあるときを選んで入金できます。コンビニ受取と同時にコンビニで支払う方法もありますが、忙しい時はコンビニになかなかいけないこともあります。私にとって、メール便+コンビニ後払いが手間と早さのバランスがよい方法なのです。
働き続け成果をあげるためには、(自分にとって)新しい情報・知識の獲得が欠かせません。しかし、そのために何が我慢できて何が我慢できないかは、人によって異なります。今回挙げなかったこと(例えばポイント獲得など)が判断材料になる方もいらっしゃるでしょう。このミニコラムが、ご自分に合った形でオンライン書店を有効に活用するための参考になり、ひいては仕事に必要な情報を効率的に得るための方法を考える参考になれば幸いです。

現代のようなモノが売れない時代には、モノを売るための戦略とマーケティングが大事だと聞きます。私も戦略についてはボチボチと勉強していますが、そろそろマーケティングも勉強しなければと思うようになりました。ちょっと調べてみると、マーケティングと言えば、「コトラー」が第一人者のようです。しかし、コトラーもドラッカーと同じようにたくさんの分厚い著書があるようですし、なにより初心者がいきなり読んでも歯が立たないでしょう。やはり初心者はコンパクトな解説本から入るのが一番と、以前買った「ブルーオーシャン戦略」と同じシリーズの解説本を読んでみました。

やはりドラッカーと同じようにカバーする領域が多岐に渡ります。その中で私の印象に強く残った2点と、なぜコトラーのマーケティングを学ぶ必要があるのか、以上3点について私が感じたことをお話したいと思います。
1.そもそもマーケティングとは何か
この本を読む前は、そもそもマーケティングとは何であるか、つかみどころがないようなイメージでいました。
それだけではピンと来ませんでしたが、その後、以下の説明がありました。
なるほど、実質的なベネフィットやサービスが価値というわけですね。しかし、別の箇所では
どうやら、今までは顧客にとっての「価値」=実質的なベネフィットやサービスであったのに対し、今では経験というものが加わり範囲が広がっているようです。
最初は目に見えて分かりやすかった顧客にとっての「価値」も、今では範囲が広がり、より高度化・抽象化していると言えそうです。となると、考えるためのツール(論理的な方法)がないとそこになかなか到達できないことになります。世の中でマーケティング理論の重要性が言われるのは、このためなのだと納得しました。
2.一般化しつつも、示唆に富むコトラー
私は会社でマーケティングに関わってこなかったので、最初は知らない用語ばかりで理解できるだろうかと思いましたが、意外にすんなり入り込めました。私も消費者なのでコトラーの理論に従ったマーケティングの対象であり、そのやり方を経験済みだったからです。
例えば、最近では新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストより高いことが分かり、顧客との関係性を重視し顧客のロイヤルティ(忠誠心)を高めるためのリレーションシップ・マーケティングが行われるようになりました。そこでは、スイッチングコスト(乗り換えコスト)の向上と顧客満足(CS)を重視しています。顧客のロイヤルティを向上させるための手法としてポイント制があるそうですが、私も近くのドラッグストアのポイントカードを持っているので、同じ買うならできるだけそのお店でと思いますし、ポイント5倍デーには「何か買わなくては」と思って買うべきものを絞り出し、買った後は「得をした」と満足しています。マーケティング担当者の狙い通りに動く、いいお客様です(笑)。
一方、この本でも「最近は、どの企業もポイント制などのロイヤルティ・プログラムをとり入れている。それだけでは差別化しづらい」と指摘しています。家の近所にある複数のスーパーはどこもポイントカードを導入しており、私はもはやポイントカードで行くスーパーを選んだりしません。ドラッグストアは今のところ店舗場所の関係でポイントカードの威力が生きていますが、もっと便利な場所にポイントカードのある店舗ができたら乗り換えることに躊躇しないでしょう。
ポイント制の他にも、すぐに実例を思い出すことがたくさんありました。マス・マーケティング(テレビCM、新聞広告)からターゲット・マーケティング(DM、電子メール、イベント)へのシフトは、日々送られているDMや電子メールの量で実感しています。また、顧客同士の相互影響を考慮すべきであるというところでは、商業施設で広がっている禁煙や、大人の空間を演出するところでは「小学生以下お断り」が増えたことなどを思い出しました。
このように、コトラーの提唱したかなりのことが既に一般化しており、差別化ポイントにならなくなって来ています。しかし、次の差別化ポイントもまた、コトラーのマーケット理論から生まれているようです。この本の最後の章は「社会志向のマーケティング」と題し、CSR(企業の社会的責任)を重視したマーケティングの必要性を説いていますが、この点は今まさに企業が力を入れ始めているポイントのような気がします。「環境にやさしい」「売上の何%を寄付します」とうたった商品やサービスがだんだん増えてきているからです。このことは、顧客にとっての「価値」に新たな範囲が加わり始めているともいえます。
3.コトラーのマーケティングを学ぶ必要性は何か
この本を読むまでは、正直マーケティングは専門の人がやるべきこと、あるいは専門の人しかできないと思っていました。しかし、マーケティングが顧客との「価値交換のプロセス」であるならば、会社に関わる全ての人々が知っておくべきことでしょう。会社全体で「顧客にとって価値のあること」を実現しなければ、競争の激しい現代では生き残れないからです。顧客と直に接し、顧客が求める価値とは何かを考えるためのデータを豊富に持っている現場にこそ、マーケティングの知識が必要かもしれません。
そして、1で見てきたように、顧客の求める価値は商品そのものからそれに付帯するサービス、さらには経験と、商品を中心としながらも範囲が広がって来ています。スターバックスが売っている商品はコーヒーですが、顧客がスターバックスから受け取る価値はコーヒーだけではありません。ここで注意すべきは、範囲が移るのではなく拡大しているという点で、新しい範囲だけでなく前からの範囲も大切だということになります。もはやポイント制では差別化できませんが、ポイント制がないと選択肢にも入らない可能性が高いのです。つまり、マーケティングの第一人者コトラーの理論を学ばずにいることは、武器を持たず戦いを挑むようなもので、戦う前から結果は明らかと言えます。今までマーケティングの基礎を知らずにいたことが恐ろしくなってきました(苦笑)。
今回それが少しだけ分かり、自分がどれだけ理論どおりに動いていたかも分かりました。賢い消費者になるためにも、コトラーのマーケティング理論は必要な知識だと思います。
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・マネジメントが気になりだした人にお薦めの本
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ポケット図解 フィリップ・コトラーの「マーケティング論」がわかる本 (Shuwasystem Business Guide Book) |

やはりドラッカーと同じようにカバーする領域が多岐に渡ります。その中で私の印象に強く残った2点と、なぜコトラーのマーケティングを学ぶ必要があるのか、以上3点について私が感じたことをお話したいと思います。
1.そもそもマーケティングとは何か
この本を読む前は、そもそもマーケティングとは何であるか、つかみどころがないようなイメージでいました。
コトラーは、マーケティングを「個人やグループが価値物(製品やサービスを含む)を創造し、提供し、それを他者と自由に交換することで、ニーズやウォンツを満足させる社会的、管理的プロセス」と定義付けています。つまり、たんに製品やサービスを交換するというより、価値を交換するというのです。
それだけではピンと来ませんでしたが、その後、以下の説明がありました。
コトラーの製品に関する考え方で特徴的なのは、製品の購入を通じて、実質的なベネフィットやサービスを買っているということです。例えば、ホテルの利用者は「休憩と睡眠」を買い、ドリルの購入者は板などにあける「穴」を買っているというわけです。
なるほど、実質的なベネフィットやサービスが価値というわけですね。しかし、別の箇所では
コトラーは、経験マーケティングを重視しています。消費者は消費活動の中に「経験」の要素を求めています。(中略)
スターバックスでコーヒーを飲むのは、たんにコーヒーを飲みたいからだけではありません。その独特の雰囲気の中に身を置くことで得られる「経験」を欲しているからとも言えるでしょう。
どうやら、今までは顧客にとっての「価値」=実質的なベネフィットやサービスであったのに対し、今では経験というものが加わり範囲が広がっているようです。
最初は目に見えて分かりやすかった顧客にとっての「価値」も、今では範囲が広がり、より高度化・抽象化していると言えそうです。となると、考えるためのツール(論理的な方法)がないとそこになかなか到達できないことになります。世の中でマーケティング理論の重要性が言われるのは、このためなのだと納得しました。
2.一般化しつつも、示唆に富むコトラー
私は会社でマーケティングに関わってこなかったので、最初は知らない用語ばかりで理解できるだろうかと思いましたが、意外にすんなり入り込めました。私も消費者なのでコトラーの理論に従ったマーケティングの対象であり、そのやり方を経験済みだったからです。
例えば、最近では新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストより高いことが分かり、顧客との関係性を重視し顧客のロイヤルティ(忠誠心)を高めるためのリレーションシップ・マーケティングが行われるようになりました。そこでは、スイッチングコスト(乗り換えコスト)の向上と顧客満足(CS)を重視しています。顧客のロイヤルティを向上させるための手法としてポイント制があるそうですが、私も近くのドラッグストアのポイントカードを持っているので、同じ買うならできるだけそのお店でと思いますし、ポイント5倍デーには「何か買わなくては」と思って買うべきものを絞り出し、買った後は「得をした」と満足しています。マーケティング担当者の狙い通りに動く、いいお客様です(笑)。
一方、この本でも「最近は、どの企業もポイント制などのロイヤルティ・プログラムをとり入れている。それだけでは差別化しづらい」と指摘しています。家の近所にある複数のスーパーはどこもポイントカードを導入しており、私はもはやポイントカードで行くスーパーを選んだりしません。ドラッグストアは今のところ店舗場所の関係でポイントカードの威力が生きていますが、もっと便利な場所にポイントカードのある店舗ができたら乗り換えることに躊躇しないでしょう。
ポイント制の他にも、すぐに実例を思い出すことがたくさんありました。マス・マーケティング(テレビCM、新聞広告)からターゲット・マーケティング(DM、電子メール、イベント)へのシフトは、日々送られているDMや電子メールの量で実感しています。また、顧客同士の相互影響を考慮すべきであるというところでは、商業施設で広がっている禁煙や、大人の空間を演出するところでは「小学生以下お断り」が増えたことなどを思い出しました。
このように、コトラーの提唱したかなりのことが既に一般化しており、差別化ポイントにならなくなって来ています。しかし、次の差別化ポイントもまた、コトラーのマーケット理論から生まれているようです。この本の最後の章は「社会志向のマーケティング」と題し、CSR(企業の社会的責任)を重視したマーケティングの必要性を説いていますが、この点は今まさに企業が力を入れ始めているポイントのような気がします。「環境にやさしい」「売上の何%を寄付します」とうたった商品やサービスがだんだん増えてきているからです。このことは、顧客にとっての「価値」に新たな範囲が加わり始めているともいえます。
3.コトラーのマーケティングを学ぶ必要性は何か
この本を読むまでは、正直マーケティングは専門の人がやるべきこと、あるいは専門の人しかできないと思っていました。しかし、マーケティングが顧客との「価値交換のプロセス」であるならば、会社に関わる全ての人々が知っておくべきことでしょう。会社全体で「顧客にとって価値のあること」を実現しなければ、競争の激しい現代では生き残れないからです。顧客と直に接し、顧客が求める価値とは何かを考えるためのデータを豊富に持っている現場にこそ、マーケティングの知識が必要かもしれません。
そして、1で見てきたように、顧客の求める価値は商品そのものからそれに付帯するサービス、さらには経験と、商品を中心としながらも範囲が広がって来ています。スターバックスが売っている商品はコーヒーですが、顧客がスターバックスから受け取る価値はコーヒーだけではありません。ここで注意すべきは、範囲が移るのではなく拡大しているという点で、新しい範囲だけでなく前からの範囲も大切だということになります。もはやポイント制では差別化できませんが、ポイント制がないと選択肢にも入らない可能性が高いのです。つまり、マーケティングの第一人者コトラーの理論を学ばずにいることは、武器を持たず戦いを挑むようなもので、戦う前から結果は明らかと言えます。今までマーケティングの基礎を知らずにいたことが恐ろしくなってきました(苦笑)。
今回それが少しだけ分かり、自分がどれだけ理論どおりに動いていたかも分かりました。賢い消費者になるためにも、コトラーのマーケティング理論は必要な知識だと思います。
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