2012/12

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ブルー・オーシャン戦略


以前のミニコラム『「戦略」なんて関係ない?』でも書きましたが、戦略はもはや経営層だけの問題ではなく、組織で働く以上、戦略の良し悪しの判断が出来る程度の知識をつけることが、自分自身のリスク管理上からも必要になってきています。しかし、コンサルタントなどでもない限り、戦略に関する基礎知識は持っていないことも多いのではないでしょうか。私もその1人です。

そこでざっとネットで調べたところ、
・M.E.ポーターの「競争の戦略」がバイブル的存在
・近年は「ブルー・オーシャン戦略」が話題になっている
らしいということが分かりました。

私は全くの初心者なので原典から読んでも歯が立たないだろうと思い、それぞれの解説本を買ってみました。本来ならバイブル的存在の「競争の戦略」の解説本から読むべきなのでしょうが、新しい考え方の方に興味を持っていたので「ブルー・オーシャン戦略」の解説本から読み始めることにしました。

ポケット図解 チャン・キムとモボルニュの「ブルー・オーシャン戦略」がわかる本―競争のない未開拓市場を創る! (Shuwasystem Business Guide Book)



それは意外によい選択だったようです。「ブルー・オーシャン戦略」は「競争の戦略」を前提として論を進めたものなので、この本には「競争の戦略」に関する最低限の解説もありました。本によれば、M.E.ポーターの「競争の戦略」は競争に主軸を置いた戦略、つまりレッド・オーシャンという血みどろの市場で勝つための戦略、一方「ブルー・オーシャン戦略」はレッド・オーシャンを抜け出し、敵のいない未開拓の市場を目指すという戦略という違いがあります。

「競争の戦略」では、競争に勝つ方法を、(1)コストのリーダーシップ(低コスト化)、(2)差別化、(3)集中、の3つであるとしています。ただし、(3)は特定のセグメントに集中して(1)か(2)を行うものなので、実質は(1)か(2)のどちらかとなります。確かに今までは、コモディティ化した商品は低価格化競争が激しく、差別化された商品は強気の価格設定というように、低コスト化と差別化のどちらか一方だったという気がします。

対して「ブルー・オーシャン戦略」は、低コスト化と差別化(買い手価値の向上)の2つを同時に実現するバリュー・イノベーションを目指し、4つのアクションERRC(エルック)を策定し実行するというものです。 (ERRC=Eliminate(取り除く)、Reduce(減らす)、Raise(増やす)、Create(付け加える))。

それは一体、どういうものなのでしょうか?勝間和代さんのブログに『スーパーホテル」と「カーブス」に学ぶ、「無駄を省いてコストダウンをしながら、顧客満足度を上げる」ということ』というエントリーがありますが、それによると、

(A) 多くの人が、その場では必要のないサービスを提供しないこと
(B) 顧客の時間をむやみに奪わないこと
(C) 本当に価値を置くべきところ、お金をかけるところにはかけること

が今の時代は大切で、「スーパーホテル」と「カーブス」はそれをやっているという指摘でした。(A)(B)は、ブルー・オーシャン戦略で言う「取り除く」「減らす」、(C)が「増やす」「付け加える」にあたるのではないでしょうか。

このように企業がERRCを進めることが多くなれば、消費者も変わる必要が出てきそうです。ポイントを絞ることで低コスト化が実現されれば、今まではコストがネックで選択できなかった商品・サービスも選択できるようになってきます。しかし提供される商品やサービスに今までのように均一ではなく差があるので、何を選択するかによって合う・合わないが大きく変わり、同じ価格でも満足度が違ってきます。つまり、選択肢は広がりますが、それを満足につなげるためには今まで以上にきちんとした選択が必要になるということでしょう。

そして、今までのように価格やブランド名などで判断することは意味がなくなります。同じ価格でも人によって満足度が異なり、ブランド名は過去の評価・他人の評価にすぎないからです(自分で判断した結果がブランドだったということはありえます)。価格やブランド名に代わる判断基準は、自分がいま本当に必要なもの・不必要なものはなにかという個人のライフスタイルになります。さらには、ビジネスで使うホテルと休暇で使うホテルに求めることが違うように、同じ人でもシーンによって必要なものは異なるはずです。これからは商品やサービスを提供する側も受ける側も、このシーンで本当に必要なことは何かを深く考えることが必要な時代になってきているということではないでしょうか。
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タグ: 仕事戦略キャリア

2012/07

26

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「戦略」なんて関係ない?


みなさんは、自分の会社に満足していますか。満足・不満が分かれるポイントは、給料・制度など色々あるでしょうが、現代らしいポイントの1つが、会社の戦略(「何をどうしたいのか」)が明確かどうかではないでしょうか。前例のない事態が多い現代では、常に前例のない判断を求められています。その時、自分の会社が何をどうしたいのか明確でなければ、どう判断すればよいか分からず右往左往するだけで、せっかくの組織の力が十分発揮されないことになります。私もそのような会社で働いた経験があり、ものすごいストレスを溜めてしまいました。

今は戦略に関する色々な本が出版され売れていますが、私ははじめ、戦略なんて経営層の問題だから関係ないと思っていました。しかし、テレビ製造業界での韓国企業の躍進と日本企業の凋落が戦略の違いによるものだと言われるように、戦略の良し悪しが組織の運命を決めるのです。テレビ製造事業でつまずいた日本企業は、大規模なリストラも行っています。となると、戦略はもはや経営層だけの問題ではなく、組織で働く以上、戦略の良し悪しの判断が出来る程度の知識をつけることが、自分自身のリスク管理上からも必要になってくるでしょう。

しかし、名著と言われる戦略の本を読んでも、厚い上に難しい言葉ばかりで頭がクラクラし、小学生が大学生用の本を読んでいる気分になります。そこで、頭のウォーミングアップ用に、この本を読んでみました。

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ




この本は、大東亜戦争における日本軍の6つの作戦を分析して、組織の敗因と失敗の原因を分析した「失敗の本質」という本をベースにしています。しかし、「失敗の本質」の解説本というより、大東亜戦争の日本軍の問題点がそのまま現代の日本企業に引き継がれていると指摘したものです。現場を上手に活用できない上層部、集団の空気に支配されやすいなど、日本特有の文化から発生する問題の原因と対処法を述べており、日本文化論の一面を持ちます。日本企業で働いた経験のある人なら誰もが感じる問題点なので、共感しやすいと思います。

戦略に関する詳しい記述は、前半の一部でしかありませんが、おそらく多くの人が漠然と思っていたであろうことがすっきりまとめられています。この本では、「戦略とは追いかける指標のことである」と定義しています。指標という言葉が分かりづらいのですが、目標達成につながる計測可能な要件ということのようです。目標達成につながらない要件でいくら健闘しても、目標達成にはつながらないばかりでなく、資源の無駄遣いということは誰でもすぐ分かることです。しかし、目標達成につながる要件を明確に定義している日本の企業はどれだけあるでしょうか。

そして、アップルやマイクロソフトなどは、自分たちの目標達成につながる要件(指標)を明確に定義しているだけでなく、1.市場で現在支配的な要件を発見し、2.それを無効化し、3.自分たちの要件で戦う、ということをやっているそうです。2・3はまさに「競争のルールを変える」と言われること。最近では、スポーツの世界でも、ビジネスの世界でも、このような日本人にとっては「えげつない」ことがよく起こっている気がします。ただ、「えげつない」と感じるのは、自分の戦略・指標が絶対だと考えているからだとも言えます。競争を勝ち抜くためには、自分の戦略・指標すら疑い、もう1段高い位置からチェックすることの重要性もこの本は指摘しています。それをしないと一方的に負け続けるという恐ろしい事態になるそうです。

戦略の世界は、なかなか面白いと思いませんか。私も、この本で戦略に興味が持てたので、違う本も読んでみたいと思います。


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