働く女性の戦略的生活スタイル|Another You STYLE
働く女性の生活を戦略的に考え、仕事・ファッション・くらし・美容/健康・スキルアップ・食事などについて、ミニコラムとしてご提案・ご紹介してまいります。
「ゆでガエルの法則」という言葉をご存知でしょうか。
急激な変化は誰もが気がついて危機意識を持ちやすいのに対し、ゆっくりとした変化はなかなか気がつかずに問題を放置しがちで、それゆえ気がついた時には大ダメージになっているというのです。もっとも、実際のカエルは茹であがって死ぬような間抜けではないそうですが。
この法則は、組織レベルだけでなく個人のレベルでもあてはまります。一般的にゆでガエルになりやすいのは、ベテランと言われる人たちではないでしょうか。大抵のことは一通り経験しているので物事に動じなくなり、一を聞いて十を知るがごとく手際よく処理します。これは「洗練されている」と言うこともできますが、一歩間違えば頭を使わない「流れ作業」になりかねません。やるべきことがたくさんあるので、イニシャルコストがかかる新しい方法には消極的で、今までの延長線上で考えようとしがちです。もし以下のような傾向が強ければ、あなたは近いうちにゆでガエルになってしまうかもしれません。
ゆでガエルにならないためには、客観的ものさし(ゆでガエルの例で言えば温度計など)を持つことが一番確実です。しかし、何が問題か充分に理解できていない段階では、何が客観的ものさしになるかもわからないでしょう。このような場合は、主観的ものさしが多い(=多角的に考えられる)ほうが、変化や問題に気がつく確率が高くなります。主観的ものさしには、自分自身の主観だけでなく、他者の主観(お湯の外にいて「お湯が煮えているのでは?」と指摘してくれるようなこと)もあてはまります。つまり、
・ 新しいことにチャレンジして、自分のものさしを増やす
・ 自分と異なる意見(他者の主観)で生かせるところはないか探す
ことが重要だと思います。ただし、自分のものさしを増やすことは非常に大変なことですから、自分と異なる意見を軽視せずに生かすことを考えるほうが、より効率的でしょう。
ベテランと言われる年代になると、いま持っている知識・経験・技術を重視しがちです。それは今の自分を支えるものなので大切にしなければなりませんが、10年後も支えてくれているとは限りません。10年後も生き残っているためには、新しいものや自分と異なるものを取り入れる勇気が必要なのです。
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ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつ。
2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡するWikipedia 『茹でガエル』から抜粋
急激な変化は誰もが気がついて危機意識を持ちやすいのに対し、ゆっくりとした変化はなかなか気がつかずに問題を放置しがちで、それゆえ気がついた時には大ダメージになっているというのです。もっとも、実際のカエルは茹であがって死ぬような間抜けではないそうですが。

ゆでガエルになっていないかのチェックリスト
□ 忙しくて余裕がない
□ そこそこ安定し、ドキドキすることがない
□ 自分と異なる意見を軽視しがち
□ 頑固だと言われる
□ 新しいことにチャレンジしていない
□ 人生に大きな目標がない(=現状維持志向)
□ 忙しくて余裕がない
□ そこそこ安定し、ドキドキすることがない
□ 自分と異なる意見を軽視しがち
□ 頑固だと言われる
□ 新しいことにチャレンジしていない
□ 人生に大きな目標がない(=現状維持志向)
ゆでガエルにならないためには、客観的ものさし(ゆでガエルの例で言えば温度計など)を持つことが一番確実です。しかし、何が問題か充分に理解できていない段階では、何が客観的ものさしになるかもわからないでしょう。このような場合は、主観的ものさしが多い(=多角的に考えられる)ほうが、変化や問題に気がつく確率が高くなります。主観的ものさしには、自分自身の主観だけでなく、他者の主観(お湯の外にいて「お湯が煮えているのでは?」と指摘してくれるようなこと)もあてはまります。つまり、
・ 新しいことにチャレンジして、自分のものさしを増やす
・ 自分と異なる意見(他者の主観)で生かせるところはないか探す
ことが重要だと思います。ただし、自分のものさしを増やすことは非常に大変なことですから、自分と異なる意見を軽視せずに生かすことを考えるほうが、より効率的でしょう。
ベテランと言われる年代になると、いま持っている知識・経験・技術を重視しがちです。それは今の自分を支えるものなので大切にしなければなりませんが、10年後も支えてくれているとは限りません。10年後も生き残っているためには、新しいものや自分と異なるものを取り入れる勇気が必要なのです。

女性にとって、恋愛は無関心ではいられないテーマです。一方で、正直めんどうに感じることもあるのではないでしょうか。それなりの経済力も行動力もある働く女性の場合、生活していく上で「愛」の必要性を感じにくいということもあるでしょう。しかし、兄弟愛・隣人愛・人類愛という言葉があるように、「愛」とは異性間に限ったものでなく、あらゆる人間関係に「愛」は存在しうるものです。例えばビジネスの世界でも、上司と部下、自社と顧客、自社と取引先の間に「愛」に通じるものが生まれたとき、もっとも強固でお互いを高めあう関係になるのではないでしょうか。
「愛」が自然に湧き出る感情、天性のものであるなら、いくら「愛」が重要であっても努力のしようがありません。しかし、本当の愛を体験するためには、愛とはいかなるものなのかを深く学び、愛するための技術を習得する必要があるとフロムはその著書『愛について』で主張しています(技術習得と言っても、いわゆる「恋愛マニュアル」のようなものではなく、より根源的なものです)。であるなら、ビジネスで成功したいと思う人は、恋愛を大切に思う人と同じように「愛」について学び、技術を習得する必要があるでしょう。このミニコラムでは、フロムの分析をどうビジネスに活かせるのか考えてみます。
フロムによると、現代人が陥りやすい「愛についての3つの誤解」があるそうです。
これを上司と部下の関係で考えてみると、つぎのようなケースが当てはまるのではないでしょうか。
ビジネスの世界では、プライベートよりは論理性が重視されますが、やはり人間が行うものですからフロムが指摘するような誤解も起きるのでしょう。むしろ、役割に線引きがあるビジネスの世界だからこそ、「それは相手の役割」と決めつけ、より誤解しやすいのかもしれません。その悪影響は、部下が誤解した場合より、上司が誤解した場合の方が大きいことは明らかです(そうでなければ、その人がそのポジションにいる意味はありません)。となると、ビジネスでのポジションが上がれば上がるほど、「愛」について理解し、そのための技術を習得する重要性は高まるのだと思います。
では、本当の「愛」とは一体どのようなものでしょうか。フロムは、本当の「愛」が備える要素として次の4つを挙げています。
このような「愛」を実現するために必要な条件として、フロムは次の7つを挙げています。前の3つは「愛」に限らずどのような技術を身につけるためにも必要なこと、後の4つは「愛」の技術を身につけるために必要なことです。
ビジネスと「愛」は、対極的な価値観です。本当の「愛」には長期的視点が重要ですが、ビジネスでは短期的に成果をあげることも重要です。「愛」とは見返りを期待せずに相手に与えるものですが、ビジネスは最終的には「できるだけ有利な取引を求める、少なくとも等価交換をめざす」ものです。しかし、ビジネスでも短期的な成果や自社に有利な取引ばかり追求していると、最後には立ち行かなくなるという事例は数多くあります。また、「愛」は見返りを期待せずに相手に与えながら、自分も人間的に成長するので大きなものを得ることになります。ビジネスと「愛」は、対極的ではありますが全く相容れないものではないはずです。むしろ現代では、このような対極的な2つの価値観をバランスよく使うことが強く求められているのではないでしょうか。
ビジネスは人間で成り立っているので、人間に関する深い理解なしには最終的には上手くいかないでしょう。ビジネスでのポジションが上がれば上がるほど、人間としての力が求められるのです。上のリストのタイトルが「ビジネスリーダーに求められる資質」としても全く違和感がないことが、それを物語っています。
フロムの考え方は、別の作者による本ですが『ケアの本質-生きることの意味』に通じるものがあります。こちらの本もおすすめです(詳細は関連コラムを参照ください)。
NHKの番組『100分de名著』のフロムの『愛について』のテキストは、コンパクトに内容がまとめられています。フロムの『愛するということ』の日本語翻訳をされた方が解説しています。
★ 関連コラム
・ビジネスで「ケア」するということ
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「愛」が自然に湧き出る感情、天性のものであるなら、いくら「愛」が重要であっても努力のしようがありません。しかし、本当の愛を体験するためには、愛とはいかなるものなのかを深く学び、愛するための技術を習得する必要があるとフロムはその著書『愛について』で主張しています(技術習得と言っても、いわゆる「恋愛マニュアル」のようなものではなく、より根源的なものです)。であるなら、ビジネスで成功したいと思う人は、恋愛を大切に思う人と同じように「愛」について学び、技術を習得する必要があるでしょう。このミニコラムでは、フロムの分析をどうビジネスに活かせるのか考えてみます。
フロムによると、現代人が陥りやすい「愛についての3つの誤解」があるそうです。
愛についての誤解
- 愛の問題を愛するという問題ではなく、愛されるという問題として捉えている
- 愛の問題とは、能力の問題ではなく、対象の問題だと思い込んでいる
- 恋に「落ちる」という最初の体験と、愛のなかに「とどまっている」という持続的な状態を混同している
これを上司と部下の関係で考えてみると、つぎのようなケースが当てはまるのではないでしょうか。
- 上司も部下も「相手がどれだけ自分を大切にし、自分の役に立ってくれるか」ばかり気にして、「自分はどれだけ相手のことを考え、役に立とうとしているか」を気にしない。
- もっと優秀な部下(あるいは上司)だったら成果があげられるはずと、問題なのは相手(対象)だと決めつけ、自分のやり方がよくない可能性には思いが及ばない。
- 最初からぴったりくる上司と部下の関係があると信じて、関係を高めるための努力をしない。あるいは、一度よい関係になったと思ったら、その関係を維持するための努力をやめてしまい、いつの間にか関係が崩れている。
ビジネスの世界では、プライベートよりは論理性が重視されますが、やはり人間が行うものですからフロムが指摘するような誤解も起きるのでしょう。むしろ、役割に線引きがあるビジネスの世界だからこそ、「それは相手の役割」と決めつけ、より誤解しやすいのかもしれません。その悪影響は、部下が誤解した場合より、上司が誤解した場合の方が大きいことは明らかです(そうでなければ、その人がそのポジションにいる意味はありません)。となると、ビジネスでのポジションが上がれば上がるほど、「愛」について理解し、そのための技術を習得する重要性は高まるのだと思います。
では、本当の「愛」とは一体どのようなものでしょうか。フロムは、本当の「愛」が備える要素として次の4つを挙げています。
愛の4つの基本的要素
- 配慮
相手の生命と成長を積極的に気にかけること。- 尊敬
相手がその人らしく成長発展してゆくように気づかうこと。- 責任
相手の要求に応じられる、応じる用意があること。- 理解(知)
相手の立場にたってその人を見、その人を知ること。
→その結果、自分自身も、人間というものも分かるようになる。
このような「愛」を実現するために必要な条件として、フロムは次の7つを挙げています。前の3つは「愛」に限らずどのような技術を身につけるためにも必要なこと、後の4つは「愛」の技術を身につけるために必要なことです。
愛の技術に必要なこと
- 規律
規律が自分自身の意志の表現になり、楽しいと感じられ、それをやめると物足りなく感じられるようになること。- 集中
何よりもまず、相手の話を聞くこと。全身で現在を生きること。自分に対して敏感になること。- 忍耐
やみくもに事を急ごうとしない。性急に結果を求めない。- ナルシシズムの克服
客観性と理性を身につけること。- 「信じる」こと
他人を、他人の可能性を「信じる」こと。自分自身を「信じている」こと。- 勇気
あえて危険をおかす能力(大事なものだと判断し、その価値に全てを賭ける)
苦痛や失望をも受け入れる覚悟。(どんな結果も受け入れる覚悟)- 能動性
内的怠慢を避け、自分の力を生産的に用いること。
ビジネスと「愛」は、対極的な価値観です。本当の「愛」には長期的視点が重要ですが、ビジネスでは短期的に成果をあげることも重要です。「愛」とは見返りを期待せずに相手に与えるものですが、ビジネスは最終的には「できるだけ有利な取引を求める、少なくとも等価交換をめざす」ものです。しかし、ビジネスでも短期的な成果や自社に有利な取引ばかり追求していると、最後には立ち行かなくなるという事例は数多くあります。また、「愛」は見返りを期待せずに相手に与えながら、自分も人間的に成長するので大きなものを得ることになります。ビジネスと「愛」は、対極的ではありますが全く相容れないものではないはずです。むしろ現代では、このような対極的な2つの価値観をバランスよく使うことが強く求められているのではないでしょうか。
ビジネスは人間で成り立っているので、人間に関する深い理解なしには最終的には上手くいかないでしょう。ビジネスでのポジションが上がれば上がるほど、人間としての力が求められるのです。上のリストのタイトルが「ビジネスリーダーに求められる資質」としても全く違和感がないことが、それを物語っています。
フロムの考え方は、別の作者による本ですが『ケアの本質-生きることの意味』に通じるものがあります。こちらの本もおすすめです(詳細は関連コラムを参照ください)。
NHKの番組『100分de名著』のフロムの『愛について』のテキストは、コンパクトに内容がまとめられています。フロムの『愛するということ』の日本語翻訳をされた方が解説しています。
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★ 関連コラム
・ビジネスで「ケア」するということ

現代はグローバルな競争の時代です。その中で、日本人であることは不利と感じる人も多いのではないでしょうか。英語も論理的思考も議論も苦手、小さな改善や効率化は得意でも独創性が足りないと感じ、個人で能力を発揮するのは厳しいので安全な集団に属していたいと望む。一体何を武器に世界と戦えばよいのかと悩んでいる日本人も多いのではないでしょうか。私もそのような一人です。
同じ著者による次の2つの本には、そのような問いに対する1つの答えが書かれています。
著者は、GM、ポルシェ、ピニンファリーナといった世界を代表するクルマ作りの現場で働き、フェラーリ創業者の名前を冠したモデルである「フェラーリ・エンツォ」など有名な車をデザインした奥山清行さん。著者は、自分が日本人であることがキャリアの上でプラスであったと分析しています。日本人のアイデンティティは何か、それから生まれるメリットを活かしデメリットを防ぐにはどうすればよいかを、ものづくりを中心として論じています。右の本に「日本人は団体力よりも個人力にすぐれている」と書かれているなど、一般的な日本人像とは少し違う指摘もあります。もちろん日本人にもいろいろなタイプがいますから、ひとくくりにはできません。しかし、文化が人間に与える影響は決して小さくはありませんし、各国の最前線で働いた経験に基づく指摘には説得力があります。
左の本によれば、日本人のアイデンティティは「想像力」と「犠牲」の2つです。想像力は「思いやり」と言い換えることができます。顧客の問題を正しく把握したり、まだ見ぬ顧客のニーズを掘り起こすためには、想像力が欠かせません。しかし、思いやりが過度になると他人の意見ばかりを気にすることにもなります。「犠牲」とは、全体を見て何が大切かを知り、自分のポジショニングを見きわめ、大切なもののために何かを我慢することができるという意味です。サービス残業など悪い面もありますが、自分の先々のキャリアを考えて給料・評価が低い仕事でも率先して行うことができるのも、「犠牲」を理解すればこそです。また、この「犠牲」は、コアとなる価値だけを生かして他を犠牲にする「切り捨ての文化」にも通じます。この「切り捨て」る考え方がビジネスでも非常に有用なことは、アップル社の成功が示しているでしょう。
テレビで見る著者は弁も立ち積極的です。著者と一般的な日本人を同様に論じるのはどうなのかという疑問も湧きます。しかし、他の著書では「かつては奥手で、見知らぬ人と言葉を交わすことさえ嫌だった」「人の目ばかりを気にして生きていた」と述べています。自らを追い込むことで日本人のアイデンティティの良い面を伸ばし、悪い面を克服してきたのではないでしょうか。今の日本人に最も必要なことは、自らを追い込む(チャレンジする)という姿勢かもしれません。
今の日本人の生活は「切り捨て」とは逆の方向を向いているようです。日本人の良さを一番知らないのは日本人なのかもしれません。しかし、他の文化を貪欲に取り込みながら、自分たち独自の形に昇華させてしまうのも日本人の得意技です。そのためには、このような本によって、日本人の(潜在的)可能性を理解しておくことも大切ではないでしょうか。
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同じ著者による次の2つの本には、そのような問いに対する1つの答えが書かれています。
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著者は、GM、ポルシェ、ピニンファリーナといった世界を代表するクルマ作りの現場で働き、フェラーリ創業者の名前を冠したモデルである「フェラーリ・エンツォ」など有名な車をデザインした奥山清行さん。著者は、自分が日本人であることがキャリアの上でプラスであったと分析しています。日本人のアイデンティティは何か、それから生まれるメリットを活かしデメリットを防ぐにはどうすればよいかを、ものづくりを中心として論じています。右の本に「日本人は団体力よりも個人力にすぐれている」と書かれているなど、一般的な日本人像とは少し違う指摘もあります。もちろん日本人にもいろいろなタイプがいますから、ひとくくりにはできません。しかし、文化が人間に与える影響は決して小さくはありませんし、各国の最前線で働いた経験に基づく指摘には説得力があります。
左の本によれば、日本人のアイデンティティは「想像力」と「犠牲」の2つです。想像力は「思いやり」と言い換えることができます。顧客の問題を正しく把握したり、まだ見ぬ顧客のニーズを掘り起こすためには、想像力が欠かせません。しかし、思いやりが過度になると他人の意見ばかりを気にすることにもなります。「犠牲」とは、全体を見て何が大切かを知り、自分のポジショニングを見きわめ、大切なもののために何かを我慢することができるという意味です。サービス残業など悪い面もありますが、自分の先々のキャリアを考えて給料・評価が低い仕事でも率先して行うことができるのも、「犠牲」を理解すればこそです。また、この「犠牲」は、コアとなる価値だけを生かして他を犠牲にする「切り捨ての文化」にも通じます。この「切り捨て」る考え方がビジネスでも非常に有用なことは、アップル社の成功が示しているでしょう。
テレビで見る著者は弁も立ち積極的です。著者と一般的な日本人を同様に論じるのはどうなのかという疑問も湧きます。しかし、他の著書では「かつては奥手で、見知らぬ人と言葉を交わすことさえ嫌だった」「人の目ばかりを気にして生きていた」と述べています。自らを追い込むことで日本人のアイデンティティの良い面を伸ばし、悪い面を克服してきたのではないでしょうか。今の日本人に最も必要なことは、自らを追い込む(チャレンジする)という姿勢かもしれません。
今の日本人の生活は「切り捨て」とは逆の方向を向いているようです。日本人の良さを一番知らないのは日本人なのかもしれません。しかし、他の文化を貪欲に取り込みながら、自分たち独自の形に昇華させてしまうのも日本人の得意技です。そのためには、このような本によって、日本人の(潜在的)可能性を理解しておくことも大切ではないでしょうか。
